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処遇改善加算Ⅰ,Ⅱ

静岡県内法人の具体的対応例

事例1 加算Ⅱ単独で配分する。

  支給対象者の半分に4万円を配分し、残り半分を主任を含む他の職員に手当として配分します。

  職階・職責は、副主任(4万円)、専門リーダー(2万円)、クラスリーダー(1万円)、分野別

  リーダー(5千円)です。

  支給額の差については職責や経験年数など、合理的な理由が必要。

  複数施設の場合は、同じ条件の職員でも配属先によって差が生じる。

  園長の手当て(5万円)と主任の手当て(4万5千円)は法人持ち出し。

  主任には、加算Ⅱから3万円を配分しました。

事例2 加算Ⅰと加算Ⅱを組み合わせて配分する。

  加算Ⅰと加算Ⅱを合わせて全体で処遇改善手当と位置付ける。(給与規定上「処遇改善手当」)

  これまでの管理職・主任等の手当ては残す。法人持ち出しを極力減らす。

  年間の給与改善額が、4万円支給職員と大きく変わらないように加算1を利用します。

  加算Ⅱで5千円支給の職員には、加算1で2~3万円程度の配布を実施します。

  管理職の手当てより処遇改善手当の額が大きくなる場合は、加算1で調整します。

事例3 加算Ⅰと加算Ⅱを組み合わせて配分した上で、アップ率を平均化する。

  加算Ⅱの配分を受ける人だけ、副主任等の肩書をつける。

  4万円支給の人はアップ率が高くなる(15~25%アップ)。

  全員をこの水準に揃えるには、法人持ち出しが多額となる。

  平均10~15%程度のアップ率に揃えた。

  4万円配分の人から一定額の拠出をしてもらう。

  拠出なしの場合は、アップ率を平均化できない。

(加算Ⅰと加算Ⅱの本質)

 加算1は、平成25年から始まった保育士等職員処遇改善加算の流れをくむもので、職員の処遇を平均的に改善するためにつけられました。本来は、ベースに組み込むことが望まれていましたが、毎年出るのかどうかわからなかったために経営者心理として賞与に回されてきたものです。この配分は法人に任されているので、傾斜配分もありですし、複数施設で融通しあうことも可です。

 加算Ⅱは、職位・職階制度を構築したうえで、職責に応じて支給される手当という性格を持っています。したがって、もらう人ともらわない人が出るのは当然ですし、処遇の改善ではありません。

 加算Ⅰと加算Ⅱは、全く別の制度であるということを認識する必要があると思います。

 

(実際の運用は)

 実際には加算Ⅱを実施し、職員の公平性を担保するために加算1を利用する方法が多いのではないかと思われます。しかし、この方法は問題の本質を見えにくくすると思います。

 加算Ⅱは、本質的に職階に応じて支給する手当であるので、職員処遇の公平性とは性質を異にします。国が4万円支給の半額を他の職員に配分してよいとしたのは、その本質を隠し、処遇改善と言いたいがために他なりません。。

 加算1は、これまでの行政指導ではベースアップに利用することが望ましいとされてきました。今回加算1と加算Ⅱを連動して利用する法人の多くは、これまで加算1を賞与で支給してきたのではないでしょうか。加算1を加算Ⅱの補助のように利用することは、公平に賃金の底上げを図るという加算1の本質を変えることにもなりかねません。

 法人内で制度の不備を少しでも補うために加算Ⅰで穴埋めすることは理解できますが、問題の本質を明らかにして制度の改善を求めるためには、国の制度通り実施することも選択肢として考慮に値します。

 

(給与規定、就業規則の改定)

 給与規定では、各種手当について規定していると思いますが、加算Ⅱの手当てはどのように規定したらいいのでしょうか。

 国のQ&Aでは、法人独自の名称を用いてよいとされています。

 藤枝市では、名称は「処遇改善手当」としています。そのうえで、手当額は「各年度において支給される処遇改善支給額によって定める」との規定はどうでしょうか。

 就業規則で、園長以下の職階制度について規定されている場合は、新たに「副主任」「専門リーダー」などの職階を規定する必要があります。特に職階制度について規定がない場合は、新たに規定する必要はありません。給与規定で十分と思われます。

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